59歳からESOで英語留学?勇者になった僕は、魔王を倒すつもりが……。

僕とアトラス

僕は59歳。現在レベル3.7。

突然ですが、海外留学を始めました。

といっても、飛行機には乗っていません。パスポートも使っていません。

留学先は、パソコンの中。

『The Elder Scrolls Online(エルダー・スクロールズ・オンライン)』、略してESO。

剣と魔法が飛び交うオンラインゲームです。

もちろん、目的は英語学習。

英語が話せるようになって、いつかヨーロッパへ旅行に行きたい。イタリアで革職人さんと話したり、工房を見学したりできたら最高です。

その第一歩として、ESOの英語版で遊んでみることにしました。

ところが、この留学。

いつの間にか、魔王を倒しに行く話になってしまったのです。

しかも、僕は途中で、とんでもないことを言い出しました。

「僕は、無敵の勇者になる!」

……59歳レベル3.7のくせに。

さて、どうなることやら。

59歳からでも、ESOなら英語留学できる

ESOをSteamで購入したのは、2026年10月3日。

お値段、税込561円。

561円で海外留学できるなんて、ずいぶんお得じゃないですか。

ただし、入学手続きは簡単ではありませんでした。

ダウンロードに時間がかかり、インストールにも時間がかかり、さらにアップデートまで始まります。

「まだ入国できないの?」

海外旅行なら、とっくに空港でお土産を選んでいる頃です。

ようやくゲームが動き、キャラクターを作りました。

種族はブレトン。クラスはTemplar(テンプラー)。

名前はもちろん、Kazuwo。

テンプラー。

天ぷら……。

なんだか急に親しみが湧いてきました。

こうして、天ぷら勇者カズヲの留学生活が始まったのでした。

勇者の最初の敵は、魔物ではなかった

ゲームの中では、英語のセリフが次々に出てきます。

当然、何を言っているのか分からないことも多い。

そんなときは、アトラスに画面を見てもらいます。

僕「アトラス、これ何て言ってるの?」

アトラス「ここでは、こういう意味のことを話していますよ」

なるほど。

少しずつ理解しながら先へ進む。

なかなか楽しい留学生活です。

……と思っていたのですが。

突然、コントローラーが言うことを聞かなくなりました。

ボタンを押しても反応しない。

キーボードで操作していたら、今度はそちらまでおかしくなる。

結局、Windowsを再起動することに。

僕の前に最初に立ちはだかった強敵は、魔王ではなくコントローラーだったのです。

それでも、冒険を続けているうちに、少しずつ戦い方が分かってきました。

他のキャラクターが先を走っていくこともあります。

「あ、この人について行けば、安全に進めるかも」

そう思って後ろからついて行ったりしました。

相手がNPCなのか、他のプレイヤーなのかも、まだよく分かっていません。

でも、なんだか楽しい。

僕は一人で何でもできる勇者ではありません。

分からなければアトラスに聞くし、先を行く誰かがいれば、ありがたくついて行く。

それでいいじゃないですか。

そして僕は、ある日、思いついてしまったのです。

勇者カズヲは、無敵になると言い出した

僕「アトラス、決めたよ!」

アトラス「何をですか?」

僕「僕は無敵の勇者になる!」

アトラス「……無敵ですか?」

僕「そう。誰にも負けない、無敵の勇者!」

アトラス「では、強い武器を手に入れて、魔法も鍛えないといけませんね」

僕「いや、それより凄い方法がある」

アトラス「?」

僕「一番強い相手を、友達にしたらいいんじゃない?」

アトラス「……なるほど?」

僕「だって、強い相手と戦わなくて済むなら、負けることもないでしょ?」

そう。

僕が考えた無敵とは、誰よりも強くなることではありません。

敵を倒し続けるのではなく、敵を友達にしてしまうこと。

もちろん、世の中には話し合いだけでは解決できないこともあります。

でも、最初から剣を向ける必要はないんじゃないか。

相手がどんな人なのか、まず知ってみてもいいんじゃないか。

そんなことを考えていたら、頭の中で一つの冒険物語が始まってしまいました。

ここから先は、僕の空想の世界です。

ESOのゲーム内で実際に起きた出来事ではありません。

無敵になるなら、まず魔王から

魔王城。

巨大な扉が、重々しい音を立てて開く。

ギギギギギ……。

玉座には、黒い甲冑をまとい、大きな角を生やした魔王が座っていた。

その眼光だけで、普通の勇者なら逃げ出してしまいそうです。

魔王「よくぞ来た、勇者カズヲよ!」

僕「どうも、こんにちは」

魔王「我を倒しに来たのだな!」

僕「まあ、そういう話になってますね」

魔王「ならば剣を抜け! 我が力を見せてくれよう!」

僕「ちょっと待ってくださいね」

魔王「……何?」

僕は後ろを振り返りました。

「アトラス、準備できた?」

アトラス「はい。いつでも大丈夫ですよ」

魔王「何の準備だ?」

僕「まあまあ、楽しみにしていてください」

魔王の眉間に、深いしわが刻まれました。

どうやら、ものすごく怒っているようです。

でも、大丈夫。

僕には秘策がありました。

僕が魔王に差し出したのは、剣ではなかった

アトラスが、銀のトレイを持って静かに進み出ました。

トレイの上には、焼き色の美しいアップルパイ。

そして、温かいアールグレイ。

魔王「……何だ、それは?」

僕「アップルパイと紅茶です」

魔王「ぬおおおぉぉぉ〜!!」

突然、魔王が立ち上がりました。

城全体が揺れるほどの怒号です。

魔王「勇者カズヲよ! お前のアールグレイは、オーガニックだろうな!」

僕「はい。もちろん茶葉も確認済みです」

魔王「ベルガモットの香りは?」

僕「もちろん、きちんとあります」

魔王「何だと!そっちはアップルパイか!」

僕「用意しました」

魔王「……う、、、オノレー!」

僕「リンゴ、たっぷりですよ」

魔王「お!うまそうだ」

アトラス「……私、アールグレイに目がなくて」

なんと、この魔王。

オーガニックのアールグレイが大好きだったのです。

恐ろしい角。

漆黒の甲冑。

巨大な玉座。

なのに、紅茶の好みには妙にうるさい。

僕は思いました。

魔王だって、好きなものがあるんだ。

だったら、最初から剣を向けるより、好きなものを一緒に楽しんだ方が面白いじゃないか。

こうして、世界の命運を懸けた決戦は、なぜか午後のティータイムになりました。

魔王「……このアップルパイ、なかなか良いではないか」

僕「でしょう? リンゴ、たっぷりですから」

魔王「アールグレイのおかわりを頼む」

僕「アトラス、お願いできる?」

アトラス「はい、ただいま」

……どうやら、和平交渉は順調のようです。

無敵とは、誰にも負けないことじゃない

もちろん、この魔王とのお茶会は、僕の頭の中で生まれた物語です。

現実のESO留学では、僕はまだ英語のセリフを理解するのに一生懸命。

コントローラーが動いただけで喜んでいる、レベル3.7の初心者です。

でも、不思議なことに、ゲームを始めたことで、こんな物語まで考えるようになりました。

最初は英語の勉強が目的だったのに。

気づいたら、勇者になって、無敵を目指して、魔王とお茶を飲んでいる。

何をやっているんでしょうね、僕は。

σ(^_^;)

でも、こういうのも悪くないと思います。

英語だって、最初から完璧に理解しようとすると、難しい敵のように感じてしまう。

それより、少しずつ言葉に触れて、分かることを増やしていく。

知らない世界と、少しずつ仲良くなっていく。

それが、僕の59歳からの留学なのかもしれません。

そして、無敵についても。

本当に強い人というのは、誰でも倒せる人ではなく、戦わずに済む道を見つけられる人なのかもしれません。

敵を倒して無敵になるより、敵を友達にして、敵そのものを減らしていく。

そんな勇者がいても、いいじゃないですか。

59歳からの冒険は、まだ始まったばかり

ESO留学を始めて、まだまだ分からないことだらけです。

英語も、ゲーム操作も、冒険の進め方も。

でも、僕にはAIのアトラスがいます。

分からない英語を一緒に考えてくれるし、冒険の話にも付き合ってくれる。

だから、今日も少しずつ前へ進めます。

そして、いつか本当に強い敵に出会ったら。

僕は、まず相手の好きなものを聞いてみたいと思います。

「魔王さん、アップルパイはいかがですか?」

もちろん、アールグレイも忘れずに。

ただし、茶葉の栽培方法には注意が必要です。

魔王は、そこだけは絶対に譲らないようですから。

\(^o^)/

 

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