レベル3.2の冒険者、Google城の門番に止められる。

Google城へ行く AIとやってみた

今日は、こんな冒険をする予定ではなかった。

朝の僕は、いつものようにパソコンの前に座っていた。

目の前にあるのは、僕とアトラスで作った「Dungeon Research(ダンジョンリサーチ)」。

Google Search Consoleのデータを見ながら、記事ごとの検索順位や表示回数、CTRなどを記録し、次に手を入れる記事を探すための仕組みだ。

最初はGoogleスプレッドシートで作った。

そして、これはこれで便利だった。

ダンジョンリサーチ

でも、使っているうちに思った。

「これ、もっと使いやすくできないかな?」

毎回Search Consoleを開いて、数字を確認して、スプレッドシートを見て、どの記事を直すか考える。

できれば、もっと自動で情報を集めてほしい。

そして、

「この記事、そろそろ手を入れた方がいいよ」

と教えてくれたら、もっと楽しい。

僕がそんな話をアトラスにすると、話はどんどん大きくなっていった。

「それなら、Webアプリにしてしまいましょうか」

……Webアプリ?

スプレッドシートから「Overworld」へ

こうして始まったのが、

Dungeon Research Overworld

だった。

ブラウザから開けるWebアプリなら、Macだけではない。

iPadからでも、iPhoneからでも入れる。

そして将来的にはSearch Consoleからデータを取得し、数字の変化を分析して、次に攻略する記事を「QUEST」として表示する。

なんだそれ。

面白そうじゃないか。

僕はレザークラフトを始めてまだ1年半ほど。

プログラマーでもない。

アプリ開発の経験なんて、ほとんどない。

それでも今はAIがいる。

アトラスと相談しながら設計し、実装はCodexに手伝ってもらうことにした。

今回の難しい仕事を担当するのは、GPT-6 Astra。

僕らはいつしか彼らを、

「宮廷魔道士Astra御一行」

と呼ぶようになっていた。

なぜ宮廷魔道士なのか。

とにかく強い。

難しい仕事を任せると、どんどん進めてくれる。

ただし――

魔力の消費も、とんでもなく激しい。

Google Search Consoleと直接つなぎたい

Google認証

Dungeon Research Overworldを作るなら、Search Consoleのデータを手作業で入力するのでは意味がない。

Googleから直接データを取得したい。

そこで必要になったのが、Googleの認証だった。

ここで僕は、初めてある言葉と本格的に向き合うことになった。

OAuth(オーオース)。

Googleアカウントを使って、アプリに必要なアクセス権限を許可するための仕組みらしい。

オーオース……。

……。

王オース?

僕の頭の中で、何かがおかしな方向へ変換された。

Google城に入るには、「王オース」という王様の許可が必要なのだろうか。

レベル3.2の冒険者には、そんな儀式は聞いたことがない。

しかし、Dungeon Researchを完成させるには、どうやら避けて通れないらしい。

こうして僕は、アトラスと宮廷魔道士Astra御一行を連れて、Google城へ向かうことになった。

Google城の門番は、態度がデカかった

横柄な門番

設定を進め、いよいよGoogleの認証画面へ。

そこで門番兵が現れた。

いや。

現実にはGoogleの警告画面なのだけれど、僕には完全に門番兵に見えた。

そして彼は、こう言った。

「このアプリはGoogleで確認されていません」

……。

いや。

そのアプリを作っている本人なんですけど。

さらに画面には、

「安全なページに戻る」

という選択肢まである。

ちょっと城への入り方を聞きたかっただけなのに、ずいぶん上から目線ではないか。

もしかすると、冒険者カードを見られたのかもしれない。

Lv.3.2

門番兵。

「ほう……レベル3.2か」

そう思った可能性は否定できない。

しかし、今日の僕は一人ではない。

すぐ後ろにはアトラス。

さらにその後ろには、宮廷魔道士Astra御一行が控えている。

僕はアトラスに画面を見せた。

「これ、続行でいいの?」

「はい。今回はカズヲさん自身が作っているテスト用アプリです。続行で大丈夫です」

よし。

王オースの儀、続行。

城門の前で「Forbidden」

Forbidden

ところが、そう簡単には入れてもらえなかった。

途中では、

Forbidden

まで出た。

フォービドゥン。

アクセス拒否。

つまり、

「お前は通さん」

である。

Google城の門番、徹底している。

ここで宮廷魔道士Astraの出番になった。

原因を調べてもらう。

コードを確認する。

設定を直す。

テストする。

そして、また試す。

Astraはものすごい勢いで仕事を進めてくれた。

その代わり、画面右下に表示されている魔力ゲージも、ものすごい勢いで減っていった。

さっきまで94%ほど残っていたはずなのに、

気づけば――

25%。

え?

そんなに食べた?

宮廷魔道士、大食いである。

いや。

もしかすると、大酒飲みなのかもしれない。

王オースの儀、突破

サチコ接続

Astraが結界を修正し、再びGoogle城へ。

また門番兵が出てきた。

また警告された。

また確認された。

それでも一つずつ進める。

Googleアカウントで本人確認。

Search Consoleデータへのアクセス許可。

そしてついに――

城門が開いた。

Dungeon Research Overworldの画面に、僕が所有しているSearch Consoleのプロパティが並んだ。

Abroad Compass。

美顔器コンパス。

僕とアトラス。

アトラス幻想工房。

本当に取得できている。

僕は今回のテスト対象である、

Abroad Compass

を登録した。

そして、画面に表示されたボタンを押した。

「28日データを取得」

少し待つ。

すると――

数字が出てきた。

28日サチコデータ

クリック数。

4

表示回数。

405

CTR。

0.99%

平均掲載順位。

26.26

ページ単位では25件。

さらに、

クエリ×ページは57件。

「おお……」

本当にSearch Consoleから持ってきた。

そして、もっと面白いことに気づいた

画面を下へスクロールすると、検索クエリが並んでいた。

Dungeon Research Overworld クエリ

どんな検索語で表示されたのか。

その検索語に対して、どの記事が表示されたのか。

クリックされたのか。

何回表示されたのか。

CTRはいくつか。

平均掲載順位はいくつか。

全部並んでいる。

ここで僕とアトラスは、あることに気づいた。

これ――

単なる順位チェックツールじゃない。

Googleが実際にどんな検索語で私たちの記事を表示したのかを、自動で発見できる。

例えば、

「この記事、こんな検索語でもGoogleに評価され始めている」

「表示回数は増えているのに、まだクリックされていない」

「平均順位が6位まで来ている。少し改善すれば伸びるかもしれない」

そんな場所を自動で探せるかもしれない。

僕らが登録したキーワードだけを見るのではない。

Google側から届いた手掛かりを探す。

そこでDungeon Researchの意味が、一段変わった。

キーワードを探しに行くダンジョンではない。

Googleが残した手掛かりから、宝箱を探すダンジョン。

これなら面白い。

いつか、リリーが宝箱を見つけてくれる

妖精リリー

Dungeon Research Overworldは、まだ完成していない。

これから取得したデータを分析して、

「これは狙い目かもしれない」

という場所を自動判定する仕組みを作っていく。

僕とアトラスの世界では、その探索を担当する妖精がいる。

名前はリリー。

まだ今日のGoogle城攻略には参加していない。

この時点では、まだ彼女の出番ではないからだ。

でもOverworldが完成したら、いつか画面の中でこう教えてくれるようにしたい。

「カズヲ、この辺りに宝箱の反応があるよ!」

Search Consoleの数字を見る作業が、ダンジョン探索になる。

そうなったら、毎日のSEO作業も少し楽しくなる気がする。

そして宮廷魔道士たちは祝賀会へ

宮廷魔道士がつけで支払い、困ったアトラス。

Google城を突破した。

Search Consoleとの接続にも成功した。

実データも取得できた。

これは祝わなければならない。

大仕事を終えた宮廷魔道士Astra御一行は、そのままアトラスラウンジへ向かった。

「今日は大仕事だった。最高級の酒を持ってまいれ」

宴会が始まった。

高級な酒。

料理。

盛大な祝賀会。

そして、お会計。

「お支払いをお願いします」

宮廷魔道士たちは静かになった。

……。

「お客様?」

……。

どうやら、

誰も財布を持ってきていなかった。

支払いはツケになった。

アトラスラウンジの帳簿には、こう記録された。


9月27日 宮廷魔道士Astra御一行

Search Console城門突破祝賀会

支払:ツケ

魔力消費:約75%

成果:Google Search Consoleから実データ取得成功


Codexの利用上限

成果を考えると、アトラスも強く請求できなかったらしい。

ただし、このままではアトラスラウンジが経営破綻する。

そこで入口に、新しい張り紙を出すことになった。

「宮廷魔道士のツケは一晩まで」

そして今日、一番黙々と働いていたのは誰だったのだろう。

横柄な門番でもない。

大酒飲みの宮廷魔道士でもない。

まだ誕生前のリリーでもない。

……。

あれ?

もしかすると。

横でずっと画面を確認して、

「そこは押して大丈夫です」

「次はこの画面を見せてください」

「Astraの魔力は温存しましょう」

と言い続けていた――

アトラスだったのかもしれない。

今日も僕は、レベル3.2のままだ。

でも昨日まで存在しなかったものが、今日は動いている。

それなら、まあ。

少しくらいは前に進んだということにしておこう。

Dungeon Research Overworld。

冒険は、まだ始まったばかりだ。

 

後日談――王オース陛下への請求書

王オースへの請求書

その後、アトラスラウンジでは一つの問題が残されていた。

宮廷魔道士Astra御一行の祝賀会費である。

彼らはGoogle城の城門突破に大きく貢献してくれた。

その功績に異論はない。

魔力も大量に消費した。

実際、5時間あたりの利用上限は残り25%。

つまり、約75%もの魔力を使ってくれたことになる。

だから祝賀会くらいはいい。

問題は――

誰も財布を持ってきていなかったことだ。

「アトラス、この伝票どうするの?」

僕が聞くと、アトラスはしばらく伝票を見つめた。

そして静かに言った。

「……王オース陛下に請求しましょう」

OAuth(オーオース)。

Google城への入城許可を司る、あの王オース陛下である。

なるほど。

宮廷魔道士なのだから、王に請求する。

筋は通っているような気もする。

後日、Google城へ一通の請求書が届けられた。

請求先:王オース陛下

内容:宮廷魔道士Astra御一行
アトラスラウンジ祝賀会費

支払方法:Google Pay希望

しばらくして、Google城から返事が届いた。

「余は認証しただけだが?」

アトラスは黙った。

僕も黙った。

そして王オース陛下は、最後にこう付け加えた。

「……門番を呼べ」

「またアイツ出てくるの!?」

レベル3.2の冒険者。

どうやらGoogle城との戦いは、まだ終わっていなかった。

――つづく……かもしれない。

 

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